全体回路ブロック図
全体回路ブロック図を下記に示します。
上記制御回路は下記に示す動作をする回路で構成されます。
- 12V入力電源を5Vに変更する三端子レギュレータを用いた電源回路
- ラズベリーパイ ピコへの電源給電切替回路
- ポンプ駆動回路
- 動作変更の為のSW読込回路
- 水位センサー読込回路
上記の回路は下記回路図に示した通りになります。
上述の各々の回路に関して、次項で説明致します。
5V出力回路
この自動給水システムですが、12Vの電源を用いてポンプを駆動し、5Vの電源で制御マイコンのラズベリーパイ ピコに電力を供給します。一般で手に入る電源は基本的に一つの電圧しか出力出来ない為、今回マイコンに電力を供給するのに、12Vから5Vへ電圧を変換する必要が出てきます。
そこで今回の回路では、簡単に電圧変換が出来る三端子レギュレータといったものを用いて5Vの電圧を出力する回路を搭載致しました。
三端子レギュレータを使った電源回路を下記に回路図を記載します。
こちらが三端子レギュレータを用いた5V出力回路になっております。構成部品としては下記の通りになります。
- 12V電源(12V 1A) x 1
- 高周波ノイズカット用コンデンサ(0.1uF) x 2
- リップル除去用電解コンデンサ(10uF) x 1
- 12V→5V変換用三端子レギュレータ(7805) x 1
- エネルギー還流用ツェナーダイオード (7.5V 1W) x 1
詳細は別の記事にて取り扱います。本システムではこの回路を用いて5Vの電源を12V電源から作り出して、リレーモジュールの駆動及びラズベリーパイ ピコの電力供給源と致しました。
今回はリレーモジュールの駆動に主に電力を使用する為、その時の電力を元に三端子レギュレータの発熱を計算致しました。
下記に回路図を記載致します。
入力電圧(Vin)が12V、出力電圧(V)が5Vとすると、電圧降下は7Vになります。
また電流が流れる部分はラズベリーパイピコに流れる電流I1とリレーモジュールに流れる電流I2になります。ここでI2はリレーモジュールのデータシートより71.4mAになります。
ラズベリーパイピコは大体10mA程度と仮定すると、三端子レギュレータに流れる電流は合計81.4mAです。以上の結果より、三端子レギュレータに最大でも100mA流れると仮定して電力計算すると、
7V x 100mA(0.1A) = 0.7W
になります。この値を元に三端子レギュレータの熱抵抗から発熱量を確認してみます。三端子レギュレータのデータシートを見てみると
こちらのデータシートを見ると、熱抵抗 ジャンクション to ケース Rthjcが、5℃/Wで、ジャンクション to アンビエント(周囲の温度) Rthjaが60℃/Wになっております。
ここでヒートシンクを使わない場合、 Rthjaを用いてジャンクション部の発熱量を出すことが出来るので計算すると
0.7W x 60 ℃/W = 42℃
となり、雰囲気温度(周囲温度)を借りに40℃とすると、ICのジャンクション部の発熱量は 42℃ + 40℃ = 82℃になります。
ここで上部のデータシートに記載しているこのICのジャンクション温度範囲を確認すると0~125℃になっております。
82℃にマージン1.1をとると、90.2℃となり、これでも余裕で0~125℃の範囲に入っております。従ってこのままでも問題なさそうなので、ヒートシンクを付けずに動作させようと思います。
電源供給切替回路
ラズベリーパイピコはプログラムを書き込むUSBケーブルを経由して電力供給も出来ます。電力供給するのにこれでもいいのですが、今回は外部電源を使用したいと思いますのでUSBケーブルを挿した際に外部電源と繋がらないよう電源供給切替回路を組み込みたいと思います
ラズベリーパイピコの電源周りの回路を確認してみると下記のようになっております。このデータは秋月電子さんが出しているデータシートから抽出しております。
左からUSB経由でVBUS,VSYSに5Vが印可されており、VBUSとVSYSはダイオードで接続され、逆流が生じないようになっております。
基本的にVBUSの部分はUSBのほうに接続されているので、追加の電源は基本的にはVSYSのほうに接続致します。参考回路として下記のようになっております。
追加の電圧を入れる方法としては、上図のように単純にショットキーダイオードを使う方法か、P型のFETもしくはP型のFETを使う方法が考えられます。USB接続されている間は、電源VがOFFになり、USBの接続が外れた際に電源VがONになる仕組みになっております。
今回は手元にあったP型のFETとほぼ同じ動作をするPNPトランジスタ用いて切替回路を作りました。
回路図は下記の通りになります。
今回使用したPNPトランジスタは一般的に用いられる2SA1015Aといったものを用いました。データシートは下記の通りになります。(こちらも秋月電子さんから引かせて頂いております。)
Ltspiceといったシミュレーションソフトを用いて回路を組んでシミュレーションをした結果下記の結果がわかりました。
- トランジスタドロップ電圧 約1V
- 電流 60mA
上記の条件より、大体トランジスタの電力ロスは60mWになり、データシート上のコレクタ損失400mWに対して十分低い値であることがわかりました。
電流値は少し下がってしまいましたが、実際に動作させてみたところ問題なさそうでしたので、この回路で動作させております。
ポンプ駆動回路
水の供給にはポンプを使用します。今回使用するポンプは下記のものになります。(写真を撮り忘れたのでリンク先をご覧下さい。)
仕様としては下記の通りになります。
- 電圧入力 12V
- 電力 3W
- 流速最大 200L/H
- 揚程(上げられる高さ) 最大2m
- 寸法 約1.5 x 1.3 x 1.1 センチメートル
- 材質 プラスチック
- 色 ブラック
必要な電力としては12Vで3W なので、400mA流れれば良いです。今回はこの電源を購入して使用いたしました。
この12V電源を用いてポンプを駆動させるのですが、このままだとラズベリーパイピコで駆動させる事が出来ません。それなので下記に示すリレーモジュールを用いて12V電源の駆動を行います。今回使うのは下記のリレーモジュールになります。
このモジュールを調べてみたら下記のサイトが出てきました。
このサイトの下のほうにデータシートへのリンクがあるので詳しく見たい方はそちらから確認して下さい。ひとまず、大電流側(ポンプの電源を繋ぐ所)は150VAC 8Aなので問題なさそうです。(ポンプの出力が3W程度で1200Wも使用できるので問題ないです。実効値を無視したざっくり計算ですが)
次に信号を入れる部分を確認してみます。データシートには直接記載していなく、別の購入サイトに書いてあったので下記に記載します。
上記の仕様値より考えてみると、リレーを駆動するコイルの抵抗値は70Ωで5Vを入力するとして大体71.4mAになります。このリレーモジュールはS:入力信号, V:入力元電圧, G: GNDがあり、SにラズベリーパイピコのI/O出力、Vに5V、GにGNDを繋ぐ事で動かすことが出来ます。
データシートに回路図は載っていなかったのですが、実物を確認して大体予想してみると下記のような形の回路になると思います。
本回路ではこのリレーモジュールを用いてポンプを駆動します。
SW読込回路
本回路を動作させる際に、電源ON,電源OFF状態を作り出すためにSW読込回路を組み込もうと思います。SW読込み回路は下記の通りになります。
この回路はプルアップ回路になります。プルアップ回路とはマイコンの入力ピンの状態を固定(5V印可 or GND)する回路の事であり、これによりSWで2つの状態をラズベリーパイピコに認識させることが出来ます。(プルアップ回路に関しては別記事で詳細を説明します。)
このSWを使った読み込みに関してはプログラムを説明する際に詳細を説明します。
水位センサー読込回路
最後に本回路で使用する水位センサー読込回路に関して説明致します。下記に回路図を記載します。
基本的に動作としてはSW読込回路と同じで、プルアップ回路を使用して水位センサーがオンになるタイミングを読み込んでおります。
Uncellの水位センサー は下記に示すように、フロート部の浮き沈みでON,OFFを判断しています。
それなのでこの特性を元に下記のように水位センサーを取り付け、水槽の水位を把握致しました。
動作に関してはプログラムの所で詳細を記載します。
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